一般社団法人センターポール

Add:東京都中央区新富1-15-4 3F

info@centerpole-japan.com

Tel: 03-6262-8880

Fax: 03-6262-8881

© 2017 CENTERPOLE

ロゴ ブラック.png
LINE__typeC.png

National Wheelchair Basketball Tournament 2018大会報告② —継承される障害者スポーツ—

May 10, 2018

 

 

 

 多くのパラリンピアンが出場していた全米車いすバスケットボール選手権であるが,出場したパラリンピアンは「歴代の」パラリンピアンだけではない。合計48チームがエントリーしたジュニアの部に出場していたのは、今後のアメリカの車いすバスケットボール会を背負って立つ「未来の」パラリンピアン達だ。

 

 

 ジュニアの部は,年齢や実力によって、3部門に分けられていた。その中で年齢も実力も最も高い選手達が出場するのが“Varsityの部”。この部門では,大人顔負けの体格をした高校生達が熾烈な戦いを繰り広げていた。

 車いすバスケットボール経験年数が比較的短く、小学校低学年ほどの選手達が主に出場しているのが“Prepの部”である。Prepの部では,ゴールの高さが通常の3.05mよりも低い2.6mに設定されていた。一般の部のような迫力はないが、すでにアスリートの顔をした選手達の姿にアメリカ車いすバスケットボール界の強さを感じた。

 そして、Varsityの部とPrepの部の間、中学生ほどの選手達が多く出場しているのが“NITの部”である。一般の部のDivision 3の中には60歳を優に超えている選手もいたので、本大会の最高齢選手と最年少選手の差はざっと見積もっても50歳以上と考えられる。

 

 

 車いすバスケットボールという単一の種目において、世界のトップレベルの選手達や現役を一度は引退したマスターズの選手達、競技を始めたばかりの選手達が一度に揃う大会というのはかなり珍しい。そこで、本大会を通して感じた多様な選手達が集う大会の魅力について2つの点を紹介したい。

 

 

  1. 障害のある子ども達とその家族が自分たちの将来モデルに出会う機会

 日本において、障害のある子ども達がスポーツを始める際の障壁の1つが情報の不足と言われている。自分達にできるスポーツがあるのか、どこでできるのか、費用はいくらかかるのか、これらの問題をクリアしてやっとスポーツを始めることができても(進学などで)生活環境が変わった際には続けられるのかどうか分からない。こういった不安は、社会的にマイノリティーの障害当事者やその家族の多くに共通する問題なのではないだろうか。

 様々な年代の選手達が参加する本大会は、こういった不安を持つ人達にとって、今後もスポーツを続けていく上での将来モデルに出会う機会や、情報を得る場となっている。出場選手の中には車いすバスケットボール以外にも、フェンシングでパラリンピックに出場した選手や、車いすソフトボールのアメリカ代表選手、さらにはマスターズとしてスポーツを続けている選手までもがいる。スポーツへの多様な関わり方を知ることは、子ども達とその家族が今後のスポーツ活動を考えていく上で非常に大きな意義があるはずだ。そういった意味では、本大会がアメリカの障害者スポーツ文化継承の一端を担っているとも言えるのではないだろうか。

 

 

 

 

2.ライフステージに応じたスポーツへの参加

 2020年の東京パラリンピックの開催が決まって以降、日本においては数々のパラリンピック選手発掘事業が行われている。日本での選手発掘とは少し趣旨が違うが、本大会も有望な若手選手の発掘に一役買っているようであった。

 本大会に出場した大学チームはアリゾナ大学のみだったが、会場にはイリノイ大学をはじめとした有名大学の車いすバスケットボール部の監督やコーチの姿があった。彼らの大きな目的は若手選手のスカウトである。日本でも甲子園などの大きな大会には、プロアマ問わず大勢のスカウトがやってくるが、大学スポーツが発展しているアメリカも同様のようであった。

全米から選手が集まる本大会は、各大学からしてみれば有望な若手選手を見つけ出す絶好の機会となっているのだ。このような各大学の努力等もあり、アメリカの車椅子バスケットボール界では、それぞれのライフステージに応じた参加形態の移行がスムーズに行われている印象を受けた。このこともアメリカの選手層の厚さの秘訣なのかもしれない。

 

 

 以上が、全米車いすバスケットボール選手権を観戦して感じた多様な選手達が集う大会の魅力である。競技の認知度や、国としてのバックグラウンドも異なるので一概には言えないが、車いすバスケットボール先進国のアメリカの取り組みには、競技力の向上のみならず誰もが生涯を通して親しめるスポーツの秘訣が散りばめられているように感じた。

日本でも,一時的なブームで終わってしまわないような障害者スポーツの取り組みが増えることを期待したい。

 

 

 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

センターポール活動報告 車いすバスケットボール、マリオ選手とアナベル選手が来日

July 16, 2019

1/6
Please reload

最新記事
Please reload

アーカイブ